山口県よろず支援拠点のコーディネーターとして、「ライバルは何社?データで導き出す開業戦略」 と題したオンラインセミナーを開催しました。
今回のテーマは、開業を検討している方が「感覚」ではなく「データ」で意思決定できるようになること。使うツールはRESAS・jSTATMAP・Googleマップ・ChatGPTの4つ、そしてすべて無料です。
「なんとなく、このエリアが良さそう」からのスタート
セミナーでは、山口県宇部市でカフェ開業を目指す「Aさん(35歳)」を主人公として、実データを使いながら分析を進めていく形式で進行しました。
開業を考えている方の多くが最初に陥りがちな思い込みとして、こんな3つをお伝えしました。
- 「人通りが多い」=「来店客が多い」は誤解。立ち寄る理由がなければ、何千人通っても素通りされます。
- 「競合がいない」=「チャンス」は誤解。競合ゼロは、プロたちが撤退した結果=需要ゼロのサインかもしれません。
- 「知人の評価」=「市場の実態」は誤解。「いい店だね」と言う人が実際に通い続けてくれるかは、全くの別問題です。
だからこそ、データで裏付けることが重要なのです。
RESAS × jSTATMAPで「勝てる市場」を特定する
前半では、経済産業省が提供するRESAS(地域経済分析システム)と、政府統計のjSTATMAPを使った商圏分析を実演しました。
Aさんの開業予定地を中心とした3km商圏をjSTATMAPで調べると、人口68,310人・世帯数33,916。同エリアのカフェ・喫茶系競合は26店で、1店あたりの潜在顧客数は約2,627人という結果になりました。
この数字の読み方として、「隣のエリアと比較する」「業態別に競合を分けて実質的な競合数を絞り込む」「RESASで業界トレンドと照合する」という3つの視点をお伝えしました。
市場規模の推計では、需要側と供給側の2つの手法を組み合わせ、この商圏の喫茶・カフェ市場は年間約6億円と試算。数字を出すことで、「この市場で戦えるのかどうか」が具体的に見えてきます。
Googleマップで競合の「弱点」を見つける
後半では、Googleマップを使った競合分析を実演しました。
ポイントは「競合ゼロの場所を探すのではなく、競合が弱い場所を探す」こと。星の評価だけでなく、クチコミの不満コメント・情報の更新頻度・営業時間・駐車場の有無など、「配荷の弱点」に注目することが差別化のヒントになります。
Aさんのエリアでは、26店の競合を業態別に分類すると、純喫茶(常連依存・高齢者中心)・滞在型(快活CLUBなど)・カラオケ喫茶など、実質的にカフェと同じ土俵で戦う競合はごく一部だということが見えてきました。
「同じ土俵で戦わなければ、ポジションを取れる市場」という視点が、参加者の皆さんにとっても発見につながったようでした。
4ゾーン判定とChatGPTによる戦略化
人口動態と競合状況をかけ合わせた「4ゾーン判定フレームワーク」でAさんの開業エリアを評価した結果、「①狙い目ゾーン」(人口横ばい×事業所数減少=参入余地あり)と判定されました。
最後に、集めたデータをChatGPTに入力して戦略を言語化するパートへ。市場の現状・競合の弱点・差別化ポジション・SWOT分析を一気に整理するプロンプト例を紹介し、「Aさんの感覚が、データで裏付けられた戦略になる瞬間」を体験していただきました。
4つのツールはすべて無料、明日から使えます
今回のセミナーでお伝えしたのは、次のステップです。
- RESAS × jSTATMAP で業界トレンドと商圏データを数値化する
- Googleマップ でクチコミ・更新頻度・配荷の弱点を確認する
- ChatGPT にデータを渡して差別化ポジションと戦略を言語化する
どれも登録不要・無料で使えるツールです。「なんとなく」から「データで確信を持って」一歩を踏み出してほしい、という思いでセミナーを組み立てました。

